代表取締役社長 山下 博史
1972年京都市生まれ。同志社大学を卒業後、株式会社ジャフコ、スパークス・グループ株式会社などで投資業務に従事しながら、投資先未公開企業に経営参画。
その後、ホテル運営会社を含む数社で取締役などを歴任し、2014年5月、アリストンホテルズアンドアソシエーツ株式会社 代表取締役社長に就任。西日本を中心に5つのビジネスホテルを運営。2018年5月アリストンホテル京都十条を開業。
山下社長が、ホテル業にたずさわることになったきっかけを教えて下さい。
私は、もともとベンチャーキャピタルで、IT関連の企業をはじめとする、様々な業種・業態の会社に投資をしてきた経験があります。IT関連企業は提供するサービスが細分化されニッチ市場を対象とした事業が多く、また商品やサービスが目に見えないものであることが多いので、自分自身で会社を経営するとしたら、市場規模が大きく、かつ分りやすい業態の企業がいいなと思っていました。
ホテルはこれまで成熟産業とみられてきましたが、訪日外国人の爆発的増加により、成長産業であるといえます。日本人のホスピタリティ力は、自信をもって外貨を稼ぐことができる貴重なバリューであり、このホスピタリティ力を活用した、ホテル事業を含む観光業は、現在最も GDPに貢献できる産業の一つだと確信しています。また、地域経済にも貢献できる事業が、ホテルや観光業であると認識しています。
旅行・宿泊業は2009年に一旦大きく盛り上がりはじめ、2011年の東日本大震災で一度縮小しましたが、再度伸びるのではないか、顧客層が変わり新しいビジネスモデルやマーケティング戦略を取り入れることで、新規参入のチャンスがあるのではないかと思い、この業界を選びました。
参入後、苦労されたことはありますか?
2016年の熊本地震の際には、九州を地盤とする当社にとっては、経済的に大きな影響がありました。宿泊や宴会の予約が突然一気にキャンセルになり数千万円の売上を失うことになりましたので、その時は焦りましたね。
ただ、私も大分の自分のホテルにいて大きな揺れと恐怖を感じましたが、幸い当社のホテルやスタッフは無事であり、営業を継続することができましたので、そのこと自体には感謝しています。ホテル業を生業としている者として、むしろ自分たちが頑張ることで、九州全体が苦しんでいるときに何か地域の役に立てるはずだと考え、前向きに業績回復に取組みました。
私は、大分と宮崎のホテルを運営していた会社を、現経営陣で2014年に買収した際に社長に就任しました。私たちはそれまでホテル事業未経験でしたので、業界の常識や慣習に縛られることなく、考え方や業務プロセスなど、変えた方が良いと思うところは積極的に壊し、変革を繰り返しながら成長を続けています。
何かを変えたり、新しいことに取り組む際、自分の思い通りに行くなどと最初から思っていませんし、壁にぶち当たった時こそチャレンジが始まるものです。
目標をたて、それに向かってやるべきことを少しずつでもやり続けていれば、目指すべきゴールにいつか辿り着けると思っていますので、そんなに苦しいとは思うことはありません。
新たなことに取り組む中で、どのようなことにこだわっていますか?
当社はそれまで別のブランドで長く運営されてきた既存のホテルをリニューアル、リブランドすることでホテル出店をしてきました。
立地が地方都市の中心地、繁華街ということもあり、ラグジュアリーホテルやリゾートホテルのような高価格帯を狙うのではなく、ビジネスマンや観光客の方に対し、便利でかつお得に泊まれて、尚且つ最高に美味しい朝食を提供することにこだわっています。
主にローカルな都市で展開していますので、その地域の魅力を感じてもらえるようなこだわり食材や郷土料理をビュッフェスタイルで提供し、「朝食のアリストン」としてのブランディングを確立していきたいと思っています。
なぜ、「朝食」なのでしょうか?
最近、ビジネスホテルを観光目的で利用されるお客様が増えてきていることは喜ばしいことですが、ビジネスホテルを運営している当社の主たる顧客層は当然ながらビジネスマンです。出張で当社をご利用いただくお客様にとってはホテルに泊まることも仕事の延長に違いはありませんが、それでもそのお客様も「出張」という旅をされていると思っています。
様々な目的で旅をされているお客様にくつろいでいただき、次の目的地に元気に向かっていただけるようにすることが私たちの使命だと思っています。出発前に美味しい朝食をおなかいっぱい召し上がっていただき、一日の活力をつけてもらいたいのです。
数あるサービス業の中でも、ホテルはサービスの提供時間がとても長いわけですが、チェックインからチェックアウトまでの長いサービス提供時間の中で最後に提供するサービスが朝食です。最後に「美味しいものを食べて帰る」ということで、ホテルに対するいい印象をもって発っていただけるサービスであるとも思います。
それらが、地域貢献にもつながっているのですね。
そうですね。朝食で地元の食材を利用したり、お祭りやイベントなど「この時期に、ここに来たら、こんな体験ができますよ」ということを発信することで、ホテルが中心となって地方創生や貢献につながると思っています。
実際に大分では、大分の観光をどう盛り上げるかなどの相談をいただくこともあり、県をはじめとした自治体や農業家の方々と一緒に魅力をどう発信していくか検討し、イベントを企画したりしています。
今後、目指していることはどのようなことでしょうか?
「心で感じるおもてなし」をブランドアイデンティティーとしていますが、心で感じていただくために「5つの気持ち」を感じていただけるホテルをつくっていきたいと思っています。
それは、1.「おかえりなさいませ」の気持ち 2.「いつでもお手伝いができます」という気持ち 3.「心地いいを体感いただく」ための気持ち 4.「旅をしている」を気遣う気持ち 5.「いってらっしゃいませ」の気持ち です。
このブランドアイデンティティーをスタッフ全員で共有し、スタッフ一人一人が、お客様の今思っていることを感じ、そのお客様の為にマニュアルに沿って行動するだけでなく、自然におもてなしができる、そんなホテルを展開していきたいと思っています。
また、我々がホテルを運営していくことで、地域の魅力を発信していきたいと思っていますし、外国の方々にも知らない日本がここにあることを伝えていきたいです。
それらのことを実現していくために、今後どのような方と一緒に働いていきたいですか?
自分自身が異業種からホテル業界に入った身として感じることは、当社社員も他のホテルの方々もそうですが、ホテルマン、ホテルウーマンというのは、様々なお客様のご要望に柔軟に対応できるものだなと感心します。でも、逆にとらえると、言われたことに対応する受け身な人が多いという印象です。
今後、我々独自の戦略を推進していくためには、自ら考え、自分がお客様だったらどうしたいかと想像し、もっと遊んで突拍子もない新しいアイディアやサービスをうみ出しながらも、それらを発信、実現していかないといけません。そんな気概をもった人と一緒に働きたいと思っています。ですので、異業種からの採用も推進しています。好奇心を持って自ら発信し、お客様に還元していきたい、そういったことに共鳴してくださる方々と働いていきたいと考えています。
「アリストンホテルズアンドアソシエーツ株式会社」を詳しく知りたい方はこちら
http://www.aristonhotels.co.jp/