株式会社ALiNKインターネット
代表取締役CEO 池田 洋人

埼玉県出身。大学卒業後、株式会社ハレックスに入社し1999年に気象予報士を取得。
2003年にヤフー株式会社にプロデューサーとして参画し、Yahoo!天気情報のフルリニューアルに従事。その後2005年に株式会社ありんくの取締役COOに就任し、WEB事業部を立ち上げ、一般財団日本気象協会と共同で『tenki.jp』をフルリニューアル。2013年に株式会社ALiNKインターネットを設立し、代表取締役CEOに就任。

早速ですが、気象の分野にたずさわることになったきっかけを教えてください。

大学卒業後に株式会社ハレックスという気象情報を提供する会社に出会い、この業界に関わり始めました。ちょうど民間で気象情報を活用したビジネスが規制緩和された頃で、周りは天気に興味がある人が多かったのですが、私自身はインターネットで気象情報を提供するという新たなビジネスに興味をもったことがきっかけです。新しいことにチャレンジすることが好きだったんですよね。人と接しながら何かを企画する、そういった軸で就職活動をしていたのですが、もともとモノづくりの業界もみていましたが、気象データをもとに企画し、形のないものをこれらからスケールさせ業界をつくっていくことにワクワクして、一緒にチャレンジしたいと感じました。

その後ヤフーに参画され、起業に至ったのですね。

『Yahoo!天気』はプロデューサーの立場でフルリニューアルに参画しているので、今では自分の子供のような存在です。ヤフーは自社でコンテンツを所有しておらず、他社のコンテンツをどう届けるか、伝えるかが勝負でしたので限界を感じていました。そのようなタイミングで、日本気象協会より『tenki.jp』のメディア事業再建のお声掛けをいただきました。新たな気象コンテンツを開発する気象メーカーとメディアの互いの力を発揮して、自分たちで企画したコンテンツを提供することに魅力を感じ、『Yahoo!天気』では実現できなかったことを『tenki.jp』でつくっていきたいと思いチャレンジすることにしました。

起業にはもともと興味があったのでしょうか?

経営者の中には起業を目標にされている方もいるかと思いますが、私は目の前の課題を解決するために、結果として起業を選択しました。当時は起業することも想定していなかったので、日本気象協会より声掛けもらった際は個人事業主としてお仕事を受けていくことを考えていたのですが、財団法人と個人事業主との取引ができない事情があったため、父親が経営していた印刷事業の会社に在籍し、その後自分の会社として設立しました。起業や立場というのにはこだわりがなかったので、今対峙している事業を伸ばすために起業があり、上場することも考えていなかったのですが、ステージをあげ、より成長させるための手段として選択しました。

これまでの経営の中で苦労されたことはありますか?

苦労というとたくさんありますが、直近でいうと昨年1年間はやはり苦しかったですね。上場後の年明け2月が決算で新型コロナウイルス感染症が広がり始めたタイミングです。創業から7期目まで毎年右肩上がりできたのですが、8期のタイミングで前年対比で落ち込み、やはりコロナウイルスの影響は大きかったですね。当社事業は、コロナ禍の影響は少ないのでは?とおっしゃる方もいらっしゃるのですが、我々のビジネスはPV数×広告単価が売上になるため、人流がストップすることで外に出ることが減り、気象情報の閲覧、PV数が減り、広告出稿や広告単価が減るという状態に陥りました。また、雨が降ったり台風が発生するとPV数が上がるのですが、昨年は12年ぶりに台風上陸ゼロという年でもあったことに加え、競争入札で落札した気象庁事業が一時的に停止となるなど、コロナウイルスも含めて三重苦に襲われましたね。

それらをどのように乗り越えたのでしょうか?

広告収入は停滞したのですが、課金制のビジネスも展開しており『tenki.jp 登山天気』というサブスクリプションモデルのサービスも提供しているのですが、これらはコロナ禍でも落ち込まず、絞り込んだジャンルでは一定のファン層はいることに改めて気づかされたので、登山に次ぐ課金制ビジネスをつくっていきたいと考えています。

貴社の事業やサービスの強みを教えてください。

『tenki.jp』はコンテンツメーカー(日本気象協会)×メディアソリューション(ALiNKインターネット)のコラボレーションで企画・提供していることにあると考えています。メディアで分析したものをコンテンツメーカーに提供することで情報を最大化すること。気象予報士のコンテンツがあるのですが、日本気象協会から天気の記事などの提供を受けていますが、これもコラボレーションで生み出されたコンテンツの一例になります。ALiNKとしては、メディアの企画運営、広告のマネタイズにあると思っています。元Googleにて活躍していた富田氏に取締役としてジョインしてもらい、自社でトレーディングデスク部門を持ち、各アドネットワーク経由の広告を、高い価格帯で掲載してもらえるようチューニングしています。天気により広告は変えたりしていますがベースの考え方は変わらないので、他業界からも「うちのメディアの広告運用もお願いしたい」と依頼いただくことも多いです。

今後はどのような展開をお考えでしょうか?

先程お伝えしたような課金型ビジネスは、レジャーやヘルスケアといったジャンル等でも展開を検討しています。また『tenki.jp』とは異なる新たな柱となる事業をつくっていきたいですね。『tenki.jp』は日本気象協会との共同運営ですので、単独で事業のポートフォリオをつくっていきたいです。これまで気象・天気のジャンルでビジネスを展開してきましたので、まったく外れることはありませんが、メディアをつくることが得意ですので天気をフックに『tenki.jp』ではできないメディア特化型ビジネスを目指したいですね。組織としては、2020年2月の上場時は9名でしたが、1年経って18名と倍以上になっていますので、今後も少しずつ増員して体制強化をしていきます。

With/Afterコロナにおいての取り組みについてお聞かせください。

コロナウイルスが拡大してからすぐにフルテレワークに切り替え、在宅手当を出したり、評価制度の見直しを行ったり、働きやすさを考えオンラインイベントを開催したりしています。例えば桜の時期には枝と団子を社員の自宅に配送してオンライン花見を行ったり、夏はすき焼きセット、冬はクリスマスなど季節毎にイベントを開催することで社員にもリフレッシュしてもらいたいと思っていますし、できる限り社員と近い距離での経営をしていきたいですね。

「株式会社ALiNKインターネット 」を詳しく知りたい方はこちら
https://www.alink.ne.jp/