株式会社techtec
CEO 田上 智裕

チームラボでのアプリ開発やCNET Japanでのメディア運営を経験。
その後、リクルートホールディングスに入社しブロックチェーンのR&Dを担当。
2018年1月に株式会社techtecを設立。

早速ですが、田上社長はもともと起業することは考えられていたのでしょうか?

大学3年の時にインターンを始めて、代表の方とも仲良くさせてもらう中で、このような大人になりたいと思ったのが最初のきっかけです。
大学時代は経済学専攻でしたので、もともと仮想通貨やブロックチェーンには興味を持っており、インターン先で業務を行う中で、仮想通貨の流通にますます魅力を感じ、起業したいと思ったのです。大学卒業とともに起業することも考えましたが、まずはビジネスを学ぼうと考え、リクルートホールディングス社に入社しました。

それから早期での起業だったと思いますが、経緯をお聞かせください。

入社前にSNSでブロックチェーンについて発信しているのを役員の方のお目にかかり、リクルートホールディングス社ではブロックチェーンのR&Dを任せてもらえることになりました。
リクルートのビジネスは情報集約型ですが、ブロックチェーンは分散型ビジネスですので、業界ではスタートアップが多く、よりスピード感をもって事業を進めていかないと海外に勝てないと考え早期に起業することを決めました。

起業してからこれまでに、苦労したことはありますか?

もともとインターン時代の後輩エンジニアと共同創業する予定だったのですが、彼が家庭の事情があり、結局1人で創業することになったことですね。
私もエンジニアとしての経験はありましたが、ブロックチェーンに従事する際には専門エンジニアが必要だったこと、また共同創業することによって業務分担することを考えていましたので、経営者の立場で頼れる人がいないことには苦労しましたね。

その時期をどのように乗り越えたのでしょうか?

Y Combinator社の創業者であるポール・グレアム氏の綴った”HOW NOT TO DIE”という有名なエッセイがあるのですが、そこに「とにかく諦めるな」ということが書かれていて、それを読んでから諦めなければなんとかなると信じて続けています。
具体的なHOWよりも、メンタルの部分が大きかったですね。

現在運営しているサービスについて教えてください。

「PoL」という仮想通貨・ブロックチェーンのオンライン学習サービスを運営しています。
仮想通貨とブロックチェーンは一緒に語られることが多いですが、実際には市場が異なります。日本の仮想通貨市場は世界最大規模を誇りますが、ブロックチェーンについては海外に後れをとっています。そのため、日本では仮想通貨が投機的で、価格の上げ下げだけで判断されてしまっており、本質的な技術の価値が知られていません。
世界有名大学の42%でブロックチェーン専門の講義がありますが、日本では提供できる人もいないので学ぶことができないのが現状です。この業界に興味をもっていても、何から学べばいいかわからない人が多いと思います。
そこで、オンラインカリキュラムを無料で提供し、この業界に関わる人をもっと増やしたいと考えています。

これからはどのような展開を考えていらっしゃるのでしょうか。

『PoL」は「Proof of Learning」の略なのですが、PoLの中に独自のトークンを発行して、知識の可視化をできるようにしようと考えています。
日本もこれまでは学歴で判断されがちでしたが、大学に行ってない人も海外の方でも、PoLで学習すればするほどトークンをもらうことができ、それによって学習量と有する知識を証明することができるというものです。
他にもPoL内にQ&Aを設けて、質問者はトークンを支払い、ベストアンサーに選ばれた人がトークンをもらえるようにするなど、ブロックチェーンの活用を考えています。

海外の企業とのパートナー提携も進められているとお聞きしました。

はい、2018年5月末に中国とシンガポールに拠点をもつブロックチェーン企業「Primas」とのパートナーシップを締結しました。彼らの日本へのローカライズをサポートしながら、情報交換を行っています。
中国の情報は入手が難しいので、パートナーを通じて信頼性のある情報にいち早く辿り着けることはとても貴重です。また日本人は内気な人が多いですが、中国の方はとてもアグレッシブで、そういった点を会社の文化をつくるうえで参考にしています。これからはアメリカなど別の国にも拠点を増やしていきたいです。

なぜ、世界を軸として展開を考えられているのでしょうか?

日本は高度経済成長期にはとても素晴らしい国だったと思いますが、今では成長率が鈍化していることをほとんどの日本人が認識している一方で、それを他人事だと思っている人が多いのではないかと思っています。
ただ、この業界にいると国境がなく、日本の未来に対する危機感が本当に自分ごとになりますし、実感しています。だからこそ、グローバル前提でこれからも海外展開を進めていきたいです。

それらを実現するために、今後どのような人と一緒に働いていきたいですか?

会社のカルチャーが重要だと考えていますので、「個人の成長をサポートする」という私たちのビジョンに共感できる人ですね。また、グローバルに展開していくので、様々な文化の人と働く中でお互いを尊重できる人がいいと思っています。
まだまだスタートアップですので、その中でも頑張ってくれる若くて考えのしっかりしている人と一緒に働きたいですね。

最後にメッセージをいただけますか。

仮想通貨・ブロックチェーンについては、事件があるたびに関わろうとする人が減ってしまっているのですが、私はブロックチェーンには未来があると思っています。
イーサリアムというブロックチェーンは、たった2年間でアマゾンの20年と同じ成長をしました。あらゆる業界の中でリスクが最も大きく、その分リターンが最も大きいのもこの業界です。だからこそ、日本が挽回できるのもこの業界だと思っています。
まずは仮想通貨とブロックチェーンを切り離して、技術としてのブロックチェーンの価値を伝えながら、この業界に関わる人をもっと増やしていきたいです。

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https://techtec.co.jp/