株式会社コスメネクスト
代表取締役社長 遠藤 宗

1973年生まれ。慶応義塾大学卒業。
株式会社船井総合研究所、株式会社たしろ薬品などを経て、2007年1月株式会社コスメネクスト設立時より取締役に就任。
取締役副社長を経て、2014年7月より代表取締役社長に就任。
2015年7月株式会社アイスタイル執行役員に就任。アイスタイルグループにおける流通事業全般を管轄する。

はじめに、創業した経緯について教えてください。

私は、元々たしろ薬品社にて勤務しておりました。その時に、『@cosme』の顧客データを活かして、生活者がもっと支持されるような事業ができないかと考え、アイスタイル社との合併会社としてスタートしました。
化粧品は専門店だけでなく、百貨店やドラッグストアなど様々な販売チャネルがあり、専門店は徐々に衰退してきています。@cosme storeも初めは、ただのランキングショップだろうって言われていましたが、化粧品業界でのルールにとらわれず、消費者目線に立って様々なことにチャレンジをしてきた結果、創業から11年経った今では、お客さまに愛される会社に、そしてお取引先の皆さまに支持していただける会社に成長しています。

これまでの経営において危機に直面したことはありますか?

出店の失敗ですかね。一号店の新宿と二号店の上野は好調だったのですが、その後の数店舗は失敗続きでした。

どのようなことが要因となっていたのでしょうか?

あまりお客さまが集まらないような場所に出店したことや比較的駅から遠い場所に出店したこと、そして本社としてのフォロー体制が整っていなかったことが原因だと考えています。
立地の問題もそうですが、客観的に見てこの会社の強みが何かまだまだ理解できていなかったのだと思います。
現在では、強みも理解できていますので、以前失敗したような立地でも集客できる自信はあります。

これだけの成長をされた貴社の強みを教えてください。

お客さまがお店に来てくれた時に、「この店なんか良いな、また来たいな」と思ってくださる方が多くなったことですかね。
きちんとお客さまの目線に立って考え、お客さまの意見を取り入れるように向き合っています。例えば、化粧品を実際に試してから購入したいと思っているお客さまが大半を占めていると思いますので、価格の安いものから高いものまで関係なく、ほぼすべての商品にテスターを用意するようにしています。さらに衛生面も考え、コットンやパフも使い捨てのものしか置いてませんし、手が汚れた際に、すぐに手を洗えるウォータースペースも完備しています。
一般的に販売スタッフは個人ノルマを設けられていることが多いので、売上のために自然と高いものを売ろうとしますが、それではお客さま優先ではなくなってしまいます。アットコスメストアでは個人ノルマを設けておらず、お客さまの気持ちを重視して、接客するように店舗スタッフに伝えております。

海外進出は、どのような経緯で展開を決めたのでしょうか?

初めは海外進出することは考えていませんでした。元々中国で法人化して越境ECの事業に従事していましたので、モノを動かすビジネスをやり始めた時に店舗も可能性があるのではないかと考え進出を決めました。
日本の文化や化粧品の質はアジアでも人気で、日本で人気の商品を取り扱うお店であれば、アジアでも勝負できるのではないかと考えたのです。海外でビジネスをすることは苦労もありますが、日本のホスピタリティの素晴らしさを日本と同じクオリティで提供していきたいと思っています。
現在は台湾4店舗、香港4店舗、タイ1店舗…とアジアを中心に店舗展開をしております。
※2018年12月時点

今考えている次の一手を教えていただけますか?

私たちにとって5年後のイメージは、アジア圏においてフランス発の化粧品専門店『SEPHORA』と同じような立ち位置であり、そんな存在になりたいと考えています。
アジアの方々に「@cosme store知ってる!すごく楽しいし、このお店がなくなったら困るよね。」と言っていただけるようなブランドを作っていきたいです。
店舗数の多さを目指すことは考えていません。資金があれば店舗は誰にだって作れると思いますので。それよりも、運営に重点を置いて一店一店の売上にコミットしていきたいですね。

これらのことを実現する上で、どのような組織でありたいですか?

社員が周囲に自慢できるような会社になりたいと思っています。
化粧品だけを販売する会社の中で100億円規模は、おそらく当社だけですので、働くことに安心感をもってほしいと思っています。人としても一社会人としても成長できたと胸を張って自慢してもらえるように会社も成長していきたいですね。
また、お客さまに支持される会社でないと事業も成り立ちません。だから、直接お客さまと関わっている店頭に権限委譲をしていますし、現場の意見をとても大事にしてきましたので、それらを本社がバックアップしていきたいと思います。

より会社が成長するために今後どのような方と一緒に働きたいですか?

周囲のために働ける人ですね。店舗スタッフは特にそうだと思いますが、利他の精神があるような人を求めています。自分のやりたいことをやるだけではダメだと思いますので。

最後にメッセージをお願いします。

これから海外進出を目指したいとお考えの場合は、自分たちの強みを明確にして、細部までしっかりと調査をして、進出することをお勧めします。
その国の文化や関わる事業に対してのインプットの量を増やし、傾向や市場、好みや強みなどを調査していくこと、また自分たちの武器で海外進出した際に本当に通用するかどうかということは、何度も疑いながら進んだ方がいいと思います。勢いで行ってしまうと失敗するリスクが高まってしまいますので。
あとはやると決めたからには、最後までやりきる方がいいと思いますので、是非頑張ってください。

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https://cosmenext.istyle.co.jp/