代表取締役 野村 日狩
大学卒業後、個人事業主としてソーラーカーを使ったサーキット場の開発・運営で起業。
2005年に株式会社ベリークルーズを設立し、代表取締役に就任。
野村社長は、もともと独立することを考えていたのでしょうか?
私の就職活動時は氷河期だったのですが、その中でも何がやりたいかを考えた時に、環境問題に携わりたいと思い、漠然と就職活動をはじめました。
オートバイが大好きで、環境をクリーンにしたいと思っていましたので、そういった乗り物を開発したいと考えていたのですがそういった企業はなかなかなく、毎日通いたいと感じるような魅力のある企業にも出会えなかったです。であれば、自分でそういう会社をつくりたいと思いついたのがきっかけです。
現実的には、お金も経験も人脈もない中、協力してくれる人や企業を探してプレゼンにまわってみると、興味を持ってくれる人々が現れて、2年目くらいで西葛西と横浜にサーキット場を出せるまでに至りました。
私の話だけを信じて協力してくれた方々には、今でもとても感謝しています。
そこから、なぜホテル事業に転換されたのでしょうか?
ソーラーカーを通した環境問題解決からはじめた事業ですが、次第に接客の魅力に取り惚かれてしまいました。もっとお客様を楽しませ、深く関われる事業をしたいと考えたのです。
「お客様との接点が長い仕事は何だろう」と考えた時に、単純にイメージしたのが宿泊業で、ホテル運営したらカッコイイし、周りの方にもホテルをやりたいという話をしはじめました。
その頃に、ちょうど業績不振のホテル再生のお話が来たのです。千葉の茂原にある、ゴルフ接待のために建てられたホテルだったのですが、周辺エリアに来るお客様が減っていました。どんなお客様なら来館するか考え、サバイバルゲームやマウンテンバイクを行う人を対象に、泊まりがてらにできるイベント等を企画し、呼び込むことから始めました。
現在では、「愛犬と楽しむ」施設を提供していると思いますが、なぜ愛犬に特化されたのでしょうか?
千葉のホテルを再生する時に、1室だけペットと泊まれる部屋を仕掛けてみました。私自身ホテル経営は初めてのことでしたから、不手際などでお客様にご迷惑を掛けてしまうことがありました。
そんな中、愛犬を飼っているお客様から「あなたも大変ね」と優しく声をかけていただくことが多く、なんて素敵な人たちだろう。この人たちのために頑張りたいなと思ったことが大きなきっかけです。その方々から「他のお客様がペットを連れていないと気を使う」という言葉を聞いたので、すべて愛犬専用の部屋にしました。
思い切ったことで不安はありましたが、接客業では何が良いかはお客様が決めることだと思っています。開業時の根底にもありますが、信頼していただくことがビジネスの基本だと思っています。良いホテルをつくるにはお客様が本音を話していただけるかどうかが重要だと思いますので、そういったお客様の力をお借りして良いホテルをつくっていきたいと考えたのです。
お客様第一に考えていらっしゃるのですね。
そのために、貴社として工夫していることなどはありますか?
わが社としては、「お客様の価値観」を大切にしています。
本来は、「これがベストだ」という社内にある成功事例を広げていくことが必要だと思いますが、何がベストであるかはお客様が決めることで、愛犬同伴宿に来るお客様の愛犬に対する想いやしつけ、マナーや価値観も千差万別ですので、わが社では「ご自宅と同じように過ごしてもらう」ということをマナーポリシーにした上で、感動を提供していることが強みだと考えています。
そのため、今後はお客様がくつろげるような旅行先をもっともっと増やしていきたいと思っています。
そのために、取り組まれていることはありますか?
私自身の強みとして見失いたくないのは、「誰が判断することがベストかを見極められる」という点です。私自身は、接客やサービス、技術を得意としている訳ではないですが、トップの立場を担っていますので、「誰に任せたら一番わが社の強みを発揮できるか」ということを見極めることを大事にしています。
本社にいる上層部の人より、お客様の近くにいる人が判断した方が良いこともあり、例えば、宿泊される方の料金等についても、愛情をもっている現場の人が判断した方が良いと思いますし、その方が会社の強みになると考えています。
お客様の感動と、スタッフの働きがい、店舗の損益を高いレベルでバランスさせる。そういったことにチャレンジしたいという人が出てきた先に、店舗展開があると思いますので、店舗展開をベースとするのではなく、仲間たちに挑戦の火をつけていきたいです。
社名の由来も「素晴らしい(ベリー)乗組員達(クルーズ)」ですので、最初は自分自身がお客様を感動させることも必要ですが、部下がお客様を感動させることを喜びに感じる人が出てきた時に、店舗のトップを任せていきたいと考えています。
それらのことを実現していくために、どのような人と一緒に働いていきたいですか?
サービス業に限らず対人関係では、親切心で働きかけたことも、有難いと思うかお節介と捉えるかは、相手しか答えを持っていないです。
接客の良し悪しについても、相手であるお客様が決めることです。そのため、お客様から誤解されたり、うまく伝わらないこともあるとは思います。しかし、怖じ気づいていても何も始まりませんから、勇気をもってお客様への愛情を何度でも伝えて欲しいと思います。
自分の成長の種がある中で、是非様々なことにチャレンジをして、たくさんの人に感動を与えてもらいたいと思います。そうすることで、素晴らしい乗組員として仲間自身も感動する日々を過ごせると信じています。
最後に、メッセージをいただけますか。
働くということは、自分の時間を差し出すということです。自分の時間とは、大げさに言うと、自分の命です。
「自分の命が減る代わりに、世の中に何が増えたら良いか」そう考えたとき、私は「誰かの喜び」を増やしたいと感じました。
また、宿泊業は “接客の最高峰” だと思っています。これからも、理念に掲げている通り「誰かの心に一生残るような素敵な想い出」を提供していきます。
「株式会社ベリークルーズ」を詳しく知りたい方はこちら
http://www.berrycruze.co.jp/