株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパン
代表取締役 中島 祥元

富山県生まれ。早稲田大学を卒業後、スポーツ関連ベンチャーの立ち上げに参加し、取締役を務める。UCI(国際自転車競技連合)主管の国際大会のオーガナイズに参画。
2009年に株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパンを設立。
これまでに、プロデューサーとして、自転車、ランニングを中心としたスポーツイベントの立ち上げから企画運営、スポーツによる町おこし・地域活性化事業、公共スポーツ施設の事業開発等に従事。

早速ですが、創業に至った経緯を教えて下さい。

私は、大学時代にスポーツ関係のゼミを専攻しており、いずれは独立して起業したいという思いがありました。卒業の時に、タイミングよくゼミの仲間が学生起業するから一緒にやらないか?と声をかけられ一緒に会社を始めました。
その会社には役員として2001年から2008年まで在籍していたのですが方向性が合わなくなり、私自身は今のルーツ・スポーツ・ジャパンを2009年に設立しました。
もともと、学生時代からスポーツをしていましたので、スポーツでビジネスができたら良いなと思っていましたし、大学でスポーツマネジメントを専攻していたことが大きなきっかけとなっています。
音楽やお笑いなどエンターテイメントにも興味があり、それらも心が奮い、感動を生み出すものだと思っていたのですが、スポーツはより一層、得られる感動が人生の中でも素晴らしい瞬間だと思っているのです。
例えば、バレーのスパイクを決めた時の身震いや自然とガッツポーツが出るような瞬間、一方で少し運動した時に汗をかいたリフレッシュの瞬間など、「燃え上がる」ような感動から、「ちょっと気持ちいい」といった軽めのものまで、「スポーツがもたらす素晴らしい感覚」を幅広く提供していきたいと思ったのです。

中島社長は、もともと独立したいと思っていたのでしょうか?

そうですね。ベンチャー企業に入り、ゆくゆく独立したいと思っていましたし、面接でも実際にそう宣言していました。
両親は公務員だったのですが、だからこそ「レールの敷かれた人生は嫌だ」と思っていたのですが、大きい会社の社長とか政治家とかではなく、0から1をつくるように、小さいことから大きくしていくビジネスを自身でやってきたいと思っていましたね。
また、自分は何のために生まれてきたのか、を考えた時に、やり遂げられることをしたい、自分が体験したことを世の中のためになることを提供していきたいと思っていました。

これまでのご経営において、今までに危機などはありましたか?

大きく経営を揺らがせるような危機はなく、現在では15人程の社員となり、売上も10年連続であがっているのですが、最初は2人で始めましたので当初はとても苦労しましたし、無理をしていた時もありました。
2013年頃に大きな受注をしたのは良かったのですが、一時は全員の退社時刻が平均で24時を超える時期もありました。みんなやりがいを持って働いてくれていましたが、その後は、きちんとワークライフバランスについて考え、改善をしていきました。
タスク管理をするシステム導入や、そのような環境を整える施策を導入することで、現在では休みもしっかりとれ、平均19時前後の退社時間になっています。

10年連続売上増収とのことですが、それらの秘訣となる貴社の強みは、どのようなところにあるのでしょうか?

当社は、2009年の頃はスポーツの中でも水泳や野球など幅広く自転車以外の事業も行っていました。
元々自転車関連事業が強かったのですが、2011〜2012年頃からは「強みに集中」ということを意識して一点集中し始め、今は事業の8割方が自転車に関するものになっています。
少なくとも、当時は競合となる企業や団体が少ない上、マーケットの規模も例えば野球やサッカーより小さく、比較的トップを狙いやすい。かつ今は小さくても将来的には大きくなるというマーケットポテンシャルを感じました。「地域活性化」というもう一つの自分の思いにも親和性が高いこともあり、今はそこに集中しています。
それらの活動がある程度は実り、おかげさまで「第5回スポーツ振興賞(日本スポーツツーリズム推進機構会長賞)」の受賞や観光庁の事業採択、またスポーツ庁の委員も拝命するなど、官公庁との取り組みにも声をかけていただけるようになりました。

更なる一手として、今後目指していることを教えて下さい。

これまで、都市から地方に人を動かし、活性化させるためのイベントをたくさん実施してきました。参加者も楽しいと言っていただき、地元の食材にも触れていただけるのでwin-winとなっていますが、年に1回のイベントとなりますので、今後は定期的に交流ができる施策を考えています。
チケット導入や人材養成、アプリ開発などを考えています。イベント以外の364日をスポーツを通してどう活かしていただくかを考えていきたいと思っています。
また、スポーツで地域を活性化していくことは、引き続き考えていきたいと思っていますので、自転車だけではなく、他のスポーツの事業に広げていくことも考えています。
そのためには、スポーツに対する愛情や想い、またそれらをビジネスにしようという冷静な心と気持ちを持った人と一緒に働いていきたいですね。

今後、オリンピックもありますが、そちらはどのように捉えていますか?

オリンピックを意識していないことはないのですが、オリンピックはあくまでも起爆剤としての「特需」であり、仮にオリンピックが来ていなかったとしても、スポーツビジネスやスポーツマネジメントの将来性、今後の社会での役割は大きくなっていくと思います。
日本では元来「スポーツ=体育」という考え方が根強くあり、「体を鍛えるもの・つらく苦しいもの」というイメージがあります。子供の頃に体育が苦手だった人は、スポーツ自体を嫌いになってしまうこともよくあると思います。
でもスポーツって本来はそういうものではなく、(仮に「体育」が得意でなくても)誰でも楽しめるもの、気持ちよいと思えるものだと思っています。
日本も、スポーツ庁が創設され、体育の日も「スポーツの日」に改める動きがあるなど、国単位で変わろうとしていますので、もっと身近に感じていただけるようになるのではないかと思っています。
当社も、「日本にスポーツを根付かせる」ということを理念に掲げており、スポーツを通して人の交流を増やし、また地域活性化にも貢献していきたいと考えています。

「株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパン」を詳しく知りたい方はこちら
http://roots-sports.jp/