ポストアンドポスト株式会社
代表取締役 吉田 照喜

1982年 長崎県生まれ。3年間株式会社ミスミに勤めたのち、2007年より株式会社ボーダレス・ジャパンに参画。2017年、こども用品大型リユースショップPOST&POSTを創業し、現在は福岡市内に3店舗を展開中。

 

創業の経緯をお聞かせください。

株式会社ミスミからキャリアをスタートして、様々な事業に携わってきましたが、事業に対して熱量を注ぐことが出来ないと感じていました。そんな時に、ミスミの同期だった田口社長(現 株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長)から声をかけてもらい、ボーダレス・ジャパンに参画しました。

そこで事業を拡大させていく中、息子が生まれたことがきっかけとなり、子どもたちが安心して暮らせる未来を作ることを意識し始めました。そこで着目したのがゴミ問題です。今の日本は大量生産、大量消費というゴミ廃棄国であるということに課題を感じていました。生産、消費、廃棄の一方通行ではなく、消費した商品を再び別の消費者に届ける形にするのが一番環境への負担が小さくなります。

こうして、子どもたちの未来のためにゴミを少なく出来ないかと思い、今の事業を始めました。

ターゲットにしているお客様を教えて下さい。

ターゲットはおしゃれな子育てママさんです。

子育て中のママさんというのは、これまでの行動が大きく切り替わる時期でもあります。食事もマクドナルドからオーガニックになったり、自分の化粧品に使っていたお金を子育てのために使ったりと、子育て中心の行動に切り替わっていきます。この時期であれば、リユース商材が受け入れられやすいのではないかと考えました。

それまでにも中古の子供服を扱っている店舗はありましたが、子どもにウケやすい原色メインの外観だったり、商品も整理されていなかったりと、あまり今どきのママさんから利用されている様子が無く、実際にアンケートをとってみると、70%のママさんはそういった店舗を利用したことは無いという結果でした。理由としては、「匂いや状態が気になる」「対象サイズが小さい」「お店に入りにくい」などが挙がりましたので、これらの課題を解決すれば、ママさんに優しい店舗になると考えました。実際、Post & Postはママさんが入りやすいおしゃれな店舗デザインになっています。

創業にあたって苦労した事はありますか?

まず、思ったより集客できなかったとことです。

ママさんは口コミマーケティングだと思っていたので、広告費は主にポスティングに当てていましたが、結果的には費用対効果が悪いということに至りました。その後、広告費をSNS広告に当てたり、産婦人科や幼稚園・保育園などの事業パートナーを増やしたり、というように集客の方針を変えてみると、段々とお客さんも集まるようになりました。 

また、当初客単価は3,000円を想定していましたが、実際には1,500円ほどと、想定よりもかなり低単価でした。これについては、ベビーカーなどの高単価商品の案内をするベビーコンシェルジュを用意することで解決しました。

ママさんにとっては、こういった高額な商品はどんなものがいいのか、本当に必要なのかどうかの判断が難しく、そこに適切なアドバイスをすることがお客さんのニーズに一致したようでした。

苦難の上で見出した、貴社の一番の強みは何でしょうか?

圧倒的な物量と、新品と見間違うほどの高い品質です。

やはりリユースということに抵抗感を感じるママさんは多いですが、その抵抗感を無くすために商品のケアには徹底的に拘っています。その結果、ある年配の女性のお客様から「え、これリユース商品なの?」と驚かれることもありました。 

こうしてリユースに対するイメージを変えていき、当たり前にリユースが受け入れられるように意識に変えていけたらと思っています。

コロナによる事業への影響はありましたか?

自分もコロナの影響は何かしらあるのかなとは思っていましたが、実際には特に感じることはありませんでした。

むしろ、コロナがあったおかげで新しい取り組みを始めることが出来ました。以前は買い取った中古商品のうち、店舗で売れない7割の商品は海外に輸出していたのですが、コロナの影響で輸出が止まり、倉庫にどんどん商品が溜まっていってしまったので、それを解消するために、ショッピングモールでマルシェのような形で商品を安く販売したところ飛ぶように売れまして、新しいお客さんのニーズを見出すことが出来ました。

大型のショッピングモールではコロナの影響で多くのアパレルブランドが撤退している状況なので、空いたスペースに出店していく事を構想しています。

今後、事業をどのように拡大していこうと考えていますか?

これからは、店舗の規模を3~4倍にしておもちゃや自転車などの扱いを増やしていきたいです。
今は子ども服をメインに扱っているベビー&キッズ専門店ですが、これからは親も利用できる、子育て家族のための『ポスポス』にしていきたいと思っています。それにはモノだけではなく、ピアノやバレエといった習い事も含まれています。また、子どもが自分たちのおこづかいの範囲で、商品を買ったり売ったり出来たら良いなとも思っています。
そうすることで、子どもたちが主体的に動き、リユースの輪が広がっていくと考えています。

 

これから起業をしようと考えてる方に向けて一言お願いします。

まずやってみる、ということが大事かと思います。

例えば、小さい子どもは家の周辺くらいしか分かっていませんが、思い切って自転車に乗って遠くまで行ってみると、これまでに見たことのない景色がそこに広がることになります。

実際に行動してみることで景色が広がり、物事に対する解像度が高くなってきます。

行動してみると分かることも増えてきて、ときには課題にぶち当たることもありますが、そこからどう軌道修正しようかというところが大事になるかと思います。

 

「ポストアンドポスト株式会社」を詳しく知りたい方はこちら
https://post-post.jp/ours/