NAV国際特許商標事務所
代表弁理士 橘 祐史

東京大学法学部卒業。筑波大学大学院経営学修士号。筑波大学大学院法学修士号(知的財産権法)。旭化成工業株式会社(現 旭化成株式会社)経営企画部で事業企画を経験。
2010年弁理士登録後、NAV国際特許商標事務所を設立。
株式会社知財ビジネスリンク代表として、知的財産を生かすコンサルティングを行う。

早速ですが、弁理士を目指したきっかけを教えてください。

大学卒業後に、旭化成工業株式会社(現 旭化成株式会社)に入社し、経営企画部で新規事業の立ち上げを担当していた時に、特許申請のことを調べ申請書の作成などをしているうちに、その面白さに魅了されました。
特許はビジネスの成功と深く結びついていて、特許となる技術をビジネスモデルと結び付けてその発展を考えるのが楽しかったのです。そこで特許に関する専門性を高めようと考え、資格試験を受けて独立をしました。

独立してから危機などはありましたか?

株式会社知的ビジネスリンク( http://pabl.co.jp/ )という会社を立ち上げた時ですね。特許権の取引をおこなえるプラットフォームをつくったのですが、日本には特許を戦略的に使おうという風土がなく、認知が広まらず、ユーザーがなかなかついてきませんでした。
特許権は会社の発展や成長に大きく関わっていますが、会計士がデューデリジェンスを作成する際にも特許権が考慮されないなど、重要であるにもかかわらず、特許権のデューデリジェンスは後回しにされています。また特許を取引すること自体には賛同できても、これまで特許の価値算定ができなかったので価格の交渉が上手くいかないというのが現状です。

それらの課題を克服するために、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか?

1つは特許権の価値を数値化することのできる価値算定ツールを自社で開発しました。これによって、価格交渉をスムーズに行うことができます。またその計算結果をもとに、その知的財産をどのようにビジネスに生かすか、というコンサルティングを行っています。
これらを通じて、まずは特許権を生かすことにどれだけの価値があるかを知ってもらい、特許を取引する風土づくりをしています。
例えばある企業が、お金の制約がある中でいくつか持っている特許権のうち、どれに投資をすればいいのかを判断する際に、各特許権の価値を数字で示して見せることができます。このように目に見える形にすることによって、特許を取り引きすることにイメージが湧き、風土づくりに繋がっていると考えています。

弁理士業から発展して、幅広い活動をされているのですね。

そうですね。通常弁理士の仕事は、特許や商標を特許庁に出願するときの手続きを代行する業務なのですが、私はもともと事業会社の経営に携わっていたこともあり、ビジネス的な観点から知的財産に関する提案ができることが最大の特徴ですね。
弁理士業としては、手続きの複雑な国際商標の出願ができることが強みとなっています。

今後はどのようなことを目指していますか?

年内には、特許権の取引を自由に、かつオープンに行えるプラットフォームをつくりたいと考えています。ただし、これまでの行われてきたプラットフォームとはまったく異なる方式で実現します。
現在登録されている特許権のうち半分は使われていませんが、そのプラットフォームを利用することによって、使わない特許がある企業はそれを売りに出してお金にすることができますし、反対に利用したい企業にとっては真似をするのではなく、正当にお金を払って技術を導入することができます。
また、複数の会社がそれぞれの特許を組み合わせてコラボレーションすることも可能です。そのような取引を、例えば東南アジアの企業が日本の企業の技術を買うといったように、世界規模でできるようにしていきたいです。
現在、技術と共に金融機関等から融資や投資を受けられるような仕組みを考えていて、そのプラットフォームに来れば技術もお金も得られるという状態を目指しています。
特許権は他社に使われないようにするために登録するクローズドなものだと思われがちですが、もっと自由に取引できるようにすることでオープンイノベーションを可能にすると考えています。

それらの実現のために、どのような人と働きたいですか?

志を共にできる人ですね。現在は知的財産、金融、コンサルティングなど様々な専門性をもった人とプラットフォームの実現のためにコラボしています。さらに、志を同じくする、システムの専門家ともコラボが必要になると考えています。

最後にメッセージをお願いします。

知的財産の業界は、少し前まではアメリカ、ヨーロッパ、日本の3極だと言われていました。しかし、現在は中国が台頭して日本は後進国になってしまっています。この延長線をいくと日本は競争力をなくしてしまいます。
日本企業に眠っている特許権も含めて、もっと特許権がイキイキするような仕組みを創ることで、改めて日本の技術が世界で認められるようにしていきたいです。

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http://www.navtrademark.com/