株式会社せたが屋
代表取締役社長 前島 司

1962年生まれ。東京都豊島区出身。
2000年にラーメン屋「せたが屋」を創業。2003年5月に有限会社ラーメンカンパニーを設立。2006年6月に社名を「株式会社せたが屋」に変更。
現在は国内だけでなく、海外にも店舗を展開。

早速ですが、独立経緯を教えていただけますか。

私は昔からラーメンが好きで、日本全国のラーメンを食べ歩いたりする程でした。
ラーメンには様々な種類があり、奥が深いうえに美味しいので将来可能性があると見ていましたし、自分もいつかお店を作ってお客様を楽しませたいと思っていました。
また、父親が元々和食料理店を経営していたこともあり、漠然とその道に進むことを考えていました。
しかし学校卒業後に飲食の道には進まず、自宅で研究しながら独学でラーメン作りをしたり、出店準備をして2000年に創業しました。

どのような店舗出店を考えられていたのでしょうか?

店舗づくりについては、こだわりもノウハウも無かったので、建築業界の方と相談しながら自分の好きなデザインでつくりました。
ただ、味へのこだわりはとても強い思いがあったのです。私自身が醤油ベースの喜多方ラーメンが好きだったのですが、当時1号店をオープンした環七通り沿いはとんこつ街道と言われている場所でしたので、周りのとんこつの味に負けないようなインパクトのある、強めの魚介で勝負しました。

独立後に、苦労された時期はありますか?

オープンして3ヶ月程経った頃のことですが、当時は弟や妻にも手伝ってもらっていたところ、全員が体を壊してリタイアして、お客様からの評判も落ちていき、その頃は本気で辞めようかと考えていました。
自宅で研究して作っていた時は、もちろんのこと出来立てのラーメンを食べていましたので美味しかったのですが、10時間営業をしていると味が劣化して、お客様も離れていき、一度お店を閉めました。

そこから、どのように乗り越えられたのでしょうか?

他の仕事をしながらも、「ここまで挑戦してきたのに、このまま辞めて良いのか…」と自問自答の日々でした。
その結果、半年後に店舗名も刷新してもう一度オープンすることに決めたのです。名前は地元の人に愛されるようにと「せたが屋」という名前にしました。
商品であるラーメン自体もすべてを見直し、今までインパクトを出すために様々な具材を入れていたところ、バランス的にも洗練されたものにしました。

現在では、どのような点がお客様から愛されているのでしょうか?

味もそうですが、常に話題を提供し続けてきたことですね。
昼と夜で屋号を変えたり、豚骨や醤油、味噌など味を変えて出店をしてきていますので、今までにない食材を使うことで、当時は第一人者としてこの路線で認められていました。

それから、海外へも進出されたのはどのような経緯がありますか?

日本の市場が成熟していて、世界がラーメンを求めているということが分かっていましたので、世界の中心であるニューヨークに出店することで、海外戦略のリーダーシップをとろうと考えたのです。もちろん洗礼をうけることはありましたが。

海外進出する際に、国の選定基準などはありますか?

アメリカに関しては私自身が好きな国だからです。
ASEANに関しては、親会社である吉野家ホールディングス社のアライアンスがありますのでそれらのリソースを活用して、主に吉野家ホールディングス社があるエリアに進出しています。
しかし、基本的には現地に行き肌感で判断していますよ。やはり、ラーメンが盛り上がっているエリアはありますし、現地の方がラーメンに興味を持ち、実際に食べているのかどうかも踏まえて、選定しています。

これからの戦略、次の一手をお伺いしたいです。

これまでも海外展開をしてきましたが、来年は上海とマレーシアへの進出を予定しています。東南アジアは豚骨で勝負していこうと考えているのですが、どの国に進出してもレッドオーシャンの市場ですので、全く新たな業態を考えています。
アメリカでは、「カスタマイズ式」が飲食では主流ですので、混ぜそばでこの業態を展開したいと考えています。
人材教育については吉野家ホールディングスのリソースを使い、私は商品作りや店のコンセプト作りに集中していきます。

上記を踏まえて、今後どのような方と働いていきたいですか?

問題意識を持ち、楽しく、誇りを持って仕事ができる人です。
問題定義を持っている人でないと会社も店舗も発展していかないと思いますし、仕事を楽しんでやらないと、それがお客様に伝わります。
チェーン店の場合スープなどは外部委託しがちですが、当店はすべて自社の現場でスープを作っていますので、これは誇りと感じてほしいですね。

最後に、メッセージをいただけますか。

海外展開する際には、「自分が住む」くらいの勢いで行った方が良いと思っています。片手間で行くというよりは、自分がその地にしっかり足を運び、吸収し、そこから思いを巡らせなければなりません。
「こいつなら任せられる」と思う人がいるからこそ新事業もやっていけるので、ただ人任せにするということもしてはいけません。
飲食業はこれから大変な時代に入ると思いますが、情熱があれば成功すると思いますので、お互いに自分の情熱を表現し、頑張っていきましょう。

「株式会社せたが屋」を詳しく知りたい方はこちら
http://www.setaga-ya.com/