有限会社カインド
代表取締役 飛田 卓司

徳島県出身。ヘアメイクアップの仕事に従事後、1992年にヘアー&メイクアップオフィス「kind」を設立。
1994年にヘアーサロンkindをオープン。

早速ではありますが、飛田社長はどのようなこときっかけで、美容師を目指されたのでしょうか?

母が美容師だったのですが、とても楽しそうに仕事をしているのをみて影響を受けたことがきっかけですね。親戚も商売をやっていましたので、サラリーマンになることは想像ができなかったです。
ただ、父親からの勧めで流されるように大学に進学したのですが、3ヶ月で辞めて実家に帰り、住み込みの美容師として始めました。
当時は、親が美容師だったらとりあえず美容師免許は取っておくという時代でしたので、私も母の影響から通信教育で免許を取得しました。

それからヘアメイクの道を経て、「kind」のオープンに至ったのですね。

はい、当時、美容室に置いてあるファッション誌の「ヘアメイク」というクレジットをみて、こういった仕事をしている人がいるのかと刺激を受け、上京しました。
最初は美容師をしながらではありましたが、やはりヘアメイクへの憧れがあり、休みの日にはヘアメイクについて学び無償でアシスタントをしていました。
数年して独立を決め、1992年にヘアー&メイクアップオフィス「kind」を設立しました。
当初は倉庫のような一軒家を借り、電話とコピー機だけでヘアメイクに従事していました。みんなで練習などをしていたら、近所のおばさま方がオフィスに遊びにきて、「美容師だったら髪切ってよ」と言って下さり、だったら美容室をやろうと思いスタートしました。それが1994年ですね。

経営をしていくにあたり、苦労されたことはありますか?

外部環境の変化の影響が大きいですね。
バブルが弾けた時には、表参道の辺りにもホームレスの方がそこら中に住んでいたくらい景気が悪かったのですが、設立当初でそもそもお金がある訳ではなかったので、そこまで苦しくもなかったですね。
ただ、ある程度金銭面にも余裕が出てきてリーマンショクが起こった時には、明らかに仕事も減って、持ちこたえてきたかという時に東日本大震災が起こり、その時が一番売上も減り大変でした。

それらをどのように乗り越えたのでしょうか?

東日本大震災のあと5月にカメラマンから声かけがあり、「肖像写真プロジェクト」としてボランティアを行いました。写真を撮り紙焼きにして、九州エリアなどの方々からメッセージをもらい、額縁に入れて渡すというプロジェクトです。
そのプロジェクトを通じて、こんなに大変な思いをしながらも頑張っている方々をみて、自分自身も頑張ろうと、精神面では乗り越えるきっかけになりました。
お店としては、今まで夜の時間がコアタイムであり、仕事終わりの社会人の方々がターゲットでしたが、お店の周りで働いている方や近所に自宅がある方々もターゲットとして、チラシを配ったり催し物を開催したりと地域密着型に転換していきました。
そこからは、少しずつ売上が戻り、お客様に正直であろうと舵を切り始めることにしました。

現在では、どのような取り組みをされているのでしょうか?

ヘアケア剤には徹底的にこだわっています。
お客様の髪に本当に良いものを提供していきたいと考えていますので、メーカーも「正直で、真摯で、工場をみせてくれること」を軸に選んでいます。
美容師も化学と真剣に向き合い、薬剤に詳しくなろうと勉強していますし、青山エリアでここまで勉強しているところは少ないと思います。
最先端の化学を学び、ヘアケアにとって何が大切かを考慮した上で、価格や継続性にも視野に入れながら、お客様に最適なヘアケアを提案していきたいと思っています。

お客様の髪のために、真剣に向き合っているのですね。

はい、最終的にはワンストップでサービス提供していくことを目指しています。
まず、ヘッドスパを提供していますが、頭皮と髪を改善することを目的としています。ヘアケアのおまけでやっては専門性がないと思いますので、当店ではヘアサロンのスタイリングエリアとは別に設けられた完全個室空間にて提供する高級スパサービスを提供しています。
また、脱毛サービスも提供しています。
脱毛は潜在顧客もいますが、親御さんが子供に脱毛をさせてあげたいという富裕層や、男性をターゲットとした脱毛を始めました。単価アップをすることもそうですが、お客様が毎月来店されますので接点を持ち続けることで、我々のファンになっていただきたいと思っています。

今後、目指されていることはありますか?

今後、人口減少が予測されている中で、我々も青山の「kind」という名店をブランディングしていくことを目標としています。
新しいこととしては、今後人口の半分が50代以上となることを見据えた時に、そのような方々が困るであろう、白髪をメンテナンスするようなプランなども考えています。

今後、どのような方と一緒に働いていきたいですか?

能動的、主体的に働ける方ですね。
母の世代の時は、黙ってでもお客様が来ていましたが、今の時代はずっと受け身ではなく、物事に対して主体的に考え動いていかないと難しいと思っています。
反対するなら違うアイディアを出し、代替案など提案できることなど、多様性と反対意見を持ってくれる方が良いと考えています。
また、経営理念に「雇用に責任を持つ」とあるように、社員が「いつまでも働ける環境」をつくり、「いつまでも勉強できる環境」をつくることを目指し、社員とその家族を守っていきたいと思います。

最後にメッセージをいただけますか。

イノベーションを恐れずに、あえて受け入れることをお勧めします。
今後、カットやカラーの技術だけでは生き残れないと思っています。技術は必須ですが、その上でマーケティングを加味して、リーダーとして考えていく必要があると考えています。

「有限会社カインド」を詳しく知りたい方はこちら
http://www.kind-mgmt.com/