有限会社ヒート
代表取締役社長 黒澤 政博

青森県出身。19歳の頃から理美容師として活躍後、1999年に有限会社ヒートを設立。
現在では、都内を中心に理美容室5店舗と訪問美容を展開。
美容商材ブランド「resple」展開。プロフェッショナルシザーブランド「Jewels scissors」「KUROSAWA scissors」展開。

早速ではありますが、黒澤社長が美容師を目指されたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

もともと実家が床屋だったということもあるのですが、14歳の時に舞台がロンドンのパンクロックのビデオを見てロンドンに行きたいと思い、どうしたら行けるのか考えた結果、理美容師に行き着きました。
実際にロンドンのサロンから声かけはあったのですが、当時の状況として日本で一緒にお店をする仲間もいたこともあり、独立することに決めました。
業界を知ってお客様がついた頃に、知識を得て意識が変わり「なぜロンドンに行くのか?」という理由が消え、「なんのために生きていくのか?」を改めて考え始め、独立を決めました。
小学生の頃から、人に使われたくないと思っていたこともありますので、もともと独立志向だったのかもしれません。

今まで経営をされてきて、苦労したことはありますか?

一番は、倒産寸前になったことですね。
実は、美容室以外にエクステのメーカーを担っていたことがありました。エクステが流行っていた時期があり、直接サロンに卸していたこともありましたので、売上高も良かったのです。一方で、当時7店舗100名程だった美容室は傾き、その事業で補填していたこともありました。
ただ、トラブルにより好調だったエクステ事業を売却せざるを得なくなったのです。

それらをどのように乗り越えたのでしょうか?

店舗を引っ越したり、スタッフ全員に頭下げてお給料の上限を設定したり、個人的には家も車も冷蔵庫もカバンも売りましたよ。
今まで、エクステ事業に頼っていたところがありますので、美容室はシビアにみていなく、ティッシュやペン一つとっても無駄使いしないよう、徹底致しました。
理想でいうとまだ完全回復とまではいきませんが、決算上では2期で回復しました。

美容室の運営に注力されていかれたのですね。
お客様に選んでいただくために工夫されていることはありますか?

お店全体というよりも、一人ひとりの個性を活かすことに戦略を置いています。
「お客様は何を求めて自分のところに来ているのか」「何を目的として美容室に来ているのか」を捉え、日本人の性格を加味し、その人のライフスタイルやトータルを考えたアドバイスをしていますし、スタッフにもそう伝えています。
技術やサービスが得意だからアピールするのではなく、「お客様に寄り添う」ことがアピールだと思っています。

美容室以外にハサミやシャンプーの事業を展開されていることも、取り組みの一つなのでしょうか?

これらの事業を展開している理由としては、美容師が技術だけではなく他のスキルも身につけられる場所や女性美容師が出産後に戻れる場所をつくること目的に展開しています。
私自身の正義として、雇うということは、その人たちの環境を整えた上で雇用をし、カスタマイズしていくことだと考えています。儲けや趣味のためではなく、雇用を生み出し、続けられる事業を行っていきたいと思っています。
アメリカに法人を設立した理由も、長く使えるハサミを提供して日本の文化を伝えていくことや、理美容師を含め職人という仕事がステータスの高い仕事だと思ってもらいたいと考えたからです。

なぜ、そう思うようになったのでしょうか?

今では、私が理美容師の職に就き、会社を設立した時と状況も変わり、人口は減っていますが、美容室は増えており、バランスが悪いと考えています。
自分の顧客は自分の年齢の10歳前後と言われている中で、自分が50歳になった時に技術だけではなく、マネジメントや独立のスキルをつけていかなくてはならないと考えたんです。
年齢が上がるに連れ、自分だけではなく子供にもかけるお金も必要となると考えた時に、30歳くらいから技術以外にどのようなスキルや事業で伸ばしていくかを考え始めるようになり、今後この業界を背負う理美容師たちのためにも、他の事業を展開することにしました。

今後、目指されていることはありますか?

一人ひとりが自立してもらえることですね。
「自立」は独立だけでなく、お店の中での個人事業主でもグループ企業の中の役員でも、個々をカスタマイズしながら自立していって欲しいと思っています。
理美容師は、自分の技術と個性で売上をつくっていますが、会社に頼らず伸びて欲しいと思っているからです。そのためには、色々な店舗の作り方があると思っていますが、一人ひとりの状態をカスタマイズしていくことが重要だと考えています。

「有限会社ヒート」を詳しく知りたい方はこちら
http://heat-tokyo.com/