apish
CEO 坂巻 哲也

千葉県生まれ。パリ総合美容専門学校卒業後、1998年にapishを設立。
サロンワークの他、独自の技術理論を用いて、全国各地でのセミナー、ヘアショーなどに出演。
薬剤、美容機器の研究・開発にも携わり、スタイリング剤、ヘアウィッグなどの商品のプロデュースでも数々のヒット商品を生み出している。
フジテレビ「B.C.ビューティー・コロシアム」などにも出演。

早速ではありますが、坂巻社長が美容師を目指されたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

美容室でアルバイトとしてお客様にシャンプーをしていた際に、「ありがとう」と言われたことがあり、感動というよりも新鮮さを味わったことが大きなきっかけです。
今まで年上の方に叱られることは多くありましたが、感謝を言われることは少なかったので、そういった大人の方にも「ありがとう」と言っていただき、何か胸に突き刺さるものがあったんですよね。
そのことがあってからは、「シャンプーを頑張ろう」「もう一度ありがとうを言っていただくためにもう少し上達しよう」と思って、勉強しました。そうすると、また「ありがとう」と言っていただき、こんな良い気持ちになれる仕事をしていきたいと思ったのです。
提供したサービスが、瞬時にジャッジされ感謝をもらえる仕事であり、真剣勝負の積み重ねが美容師の魅力だと思いました。

もともと、独立することは考えていたのでしょうか?

独立することは、考えていなかったですね。
経営とか数字とか強くなかったこともありますが、プレイヤーとして最高のパフォーマンスを残そうと思っていました。
現副社長の網野と出会えたことが、独立に至った大きなきっかけですね。
彼は、私がないものを持っていましたし、私の右腕としてサロンワークや経営を担ってもらい、その分、私自身は数字以外のところでパフォーマンスを出すことで、会社をつくっていこうと考えました。
網野と出会えてなかったら、独立はしていなかったと思います。

網野副社長と二人三脚で、会社を大きくされてきたのですね。
その中でも、今までに苦労されたことはありますか?

私自身が、プレイヤーとして走り過ぎてしまったことですね。
昔、テレビなどでもカリスマ美容師として取り上げてもらっていた頃には、1日40〜50名程の申込があり、開業から2年で面積5倍程のサロンに引っ越し、通常の半分くらいの人数で回していました。
私自身の売上が会社の売上の約7割を占めていましたので、私が頑張れば良かったですが、お店も会社も大きくなってきて、自分のパフォーマンスだけではなく、より一層経営に力を入れていかなくてはと考え始めました。その際に、デザイナーとして引っ張ることと、経営者として自由勝手にやることは異なることに気づきました。
その時にはもう遅く、離脱者などが出始めていたのですが、網野のおかげもあり「心の経営」を始めたことがきかっけで、チームの中で各々の強みを探し、それぞれの役目が一人一人の力になっていることを見ることで、ハサミを持ちながらもマネジメントができるヒントを探すようにしました。
それが、プレイヤーからマネジメントに転換したタイミングですね。

そんな貴社も、apishとしても、お客様から選ばれていると思いますが、どのような点が強みとなっているのでしょうか?

apishでは、「パーマ」を強みとしています。
美容室ってもともと「パーマ屋」と言われていましたが、現在美容室に来てパーマをかける方は10%いるかいないかの中で、apishでは一番多いスタッフで約7割の方がパーマを受けてもらっています。
実は、お客様にパーマに興味があるか聞くと7〜8割の方があると答えますが、実際にかけた人は約1割であることが現状です。それは、お客様の希望はあるのに、美容師が断っているということになると考えています。
ただ、私たちは「パーマ屋」だと思っていますので、プロの美容師にもパーマを教えている程、パーマアカデミーを強みとしています。

今後はそれらのことを強みとしながら、どのようなことを目指されていますか?

まず、社会貢献してそれに対する報酬が給与になることを目指していきたいと思っています。
そのためにも、美容業界を発展させ、美容師でも学んでしっかり経営していることを他業種の方々にも知っていただきいたいですし、モデルケースをつくっていきたいですね。
直近では、ママさん美容師を応援し、雇用をしています。
産休に入るとハサミを置き、1回置くともう一度持ち直すのが不安というプレイヤーとしてのジレンマがありますので、ママさんの復帰場所としてカラー専門店をつくりました。
「ママさん美容師をトレーニングして戦略に変えていく」というモデルケースになりたいですね。
美容師の免許は永久で更新もありませんので、ハサミを置いてしまった方々に知っていただくことで、雇用や社会貢献につなげていきたいと考えております。
また、美容師の価値を変えていくことも重要だと考えており、apishでも物販を強化していますが、物販を増やしていきたいという訳ではなく、「お客様の髪を365日綺麗にしてあげたい」という思いからなんですよね。
髪を守ることがミッションだと思っていますし、プロからの処方箋は出すべきだと思ってますので。

最後にメッセージをいただけますか。

apishでは「夢確認書」というものに取り組んでいます。私含め、スタッフの夢が書いてあり、その夢を現実にするために必要とされる大切なことがたくさん書いてあります。
自分の目標やビジョンを持ち続けることは必要ですが、行動にできていない方がたくさんいますので、これらを全国に広げていきたいと思っています。
自分自身が生まれてきた意味として、幸せになることだと思いますので、今ある環境の中に自分のやりたいことを見出し、その環境の中でトップを目指して頑張っていただきたいと思っています。
できることだけでいいので、ノートなどにコツコツ書き出すだけでも良いと思っていますし、「夢確認書」を一つのモデルとして、全国の美容師にも同じようなものをつくってもらえたらと思っています。

「apish」を詳しく知りたい方はこちら
http://www.apish.co.jp/