野口五丈公認会計士事務所
代表 野口 五丈

中央大学商学部会計学科を卒業後、有限責任監査法人トーマツに入社。
その後、中小企業向けの事務所に転職し、税務実務を経験。
2012年に、ITベンチャー企業をサポートする会計事務所として、野口五丈公認会計士事務所を設立。

会計士を目指されたきっかけを教えてください

高校生の時に、友人に勧められて観た『ショーシャンクの空に』という映画がきっかけです。主人公は冤罪によって投獄されてしまうのですが、会計士の能力を活かして最終的に復讐をし、自分の人生を取り戻す物語でした。
その映画を観た後すぐに、「会計・専門家」とインターネットで検索し、公認会計士という資格や職業があることを知りました。それから、公認会計士を目指そうと考えたのです。

当時から、独立することなどは考えていたのでしょうか?

学生の頃は全く考えていませんでした。独立=リスクというイメージがありましたしね。
監査法人に入り、いわゆる終身雇用や年功序列といった制度のなかで、キャリアアップしながらずっと働いていくことを描いていました。
しかし、2010年に大規模なリストラがあり、それらが保障されたものではないということに気づきました。会社が景気にまかせてリストラをするというのは当然の選択肢ですが、私自身は他人に自分の人生を握られている状態は嫌でした。
その時になって初めて独立することを考えましたが、税理士で独立する人は多くいますが、つぶれるという話はあまり聞きませんでした。初期投資が少なく、パソコン1台から始めることができ、在庫もありませんので、大きな不安もなく決断することができました。

これまでに、苦労されたことなどはありましたか?

今でも税理士のなかには、クラウド会計に対して好意的ではない人がいますが、私たちも2013年頃にクラウド会計へシフトすることを決めた時に、それを理由に数名のスタッフが辞めてしまいました。当時は、1人30社程のクライアントを担当してもらっていましたので、その後の対応には苦労しましたね。
幸いにも、スタッフの中にはクラウド会計の便利さを理解している人も多かったのと、クラウド会計を希望する求職者が多かったので採用は上手くいきました。
その後、残ったメンバーに新人の教育に協力してもらい、その時期を乗り越えることができました。

苦労した時期もあったとのことですが、クラウド会計へシフトしたことが多くのお客様に選んでいただいている大きな理由なのでしょうか?

そうですね。クラウド会計というのは、ネットバンキングなどと連動がされておりますので、これまで人間が会計ソフトに手入力していたものが、インターネットを活用することで、作業や保存が効率的にできるものです。
ただ、便利なものでありながらも、これらを使える会計事務所はまだまだ少ないのです。当事務所はクラウド会計ソフトの『freee』を早期に利用し、導入も全国で上位の実績があることで、信頼を得ることができ、それが結果的に顧問先件数の増加に繋がっています。

お客様に喜んでいただくために、工夫しているとはありますか?

クライアントへの早いレスポンスをすることは、スタッフに徹底させています。
税理士など専門職の多くは真面目な人が多いため、100点満点の回答を求めていろいろ調べることで、レスポンスが大幅に遅れてしまうといったことがよくあります。
私たちはそうではなく、70点でもいいから早くレスポンスをすること、時間がかかるならいつまでに回答できるかを事前に伝えるなど意識しています。
また、女性の活躍を意識し在宅ワークを推進しています。現在13名のスタッフのうち8名が女性で全員子育て中ですが、場所と時間の制約を外し、子育ての都合に合わせた在宅勤務や土曜勤務にするなど、柔軟な働き方を選択してもらっています。

今後は、どのようなことを目指されていきたいとお考えでしょうか。

今抱えている課題としては、業界全体としても低価格化が進んでいるのではないかと考えています。だからこそ、これまでの業務にプラスしてコンサルティングのような付加価値を提供していきたいと思っています。
もう一つは、いかにスタッフのやりがいを生みだしていくかということですね。
スタッフと話していて感じるのですが、彼らはお金よりも働きやすさやワークライフバランス、仕事のやりがいといったものを会社に求めているので、そういった環境を今後も増やしていきたいです。
また、やりがいを感じられる瞬間として、お客様に感謝していただける時があるかと思うのですが、税務業務では直接「ありがとう」をいただくことが少ないのが現状です。
そういう意味でも、クラウド会計の導入支援もそうですが、税務業務以外の部分でもう一声「ありがとう」をいただけるように、資金調達や融資など新しい付加価値をプラスしたご支援をしていきたいです。

最後に、これからどのような方と一緒に働いていきたいですか?

人間性の部分が大きいと思っていますが、身近に困っている人がいたら自分には関係ないと思うのではなく、手を差し伸べられる人ですね。
我々会計業界はAIにとって代われると言われたりしますが、私はそんなことは全くないと考えています。私は「翻訳」という言葉を使っているのですが、AIがいくら便利でも多くの人はそれを理解して使いこなすことができていないと思います。
そこで我々がAIとお客様の間に入り、それらを利用するための支援をする人が必要だと考えています。
現在提供しているクラウド会計の導入支援がまさにそれにあたりますが、そういった仕事はむしろこれから増えていきます。これから会計士を目指す人には、AIを敵視するのではなく、AIを十分に使いこなしていく側の人になってほしいと思います。

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