
代表 宮崎 千尋
株式会社力の源カンパニーにて、一風堂五反田店・西麻布五行・京都五行・銀座五行のオープニング、レストラン&ベーカリーブロックゼネラルマネジャーなどを歴任した後、2011年ソラノイロをオープン。
ベジソバなどの革命的なラーメンを生み出し、これまでラーメン店に足を運ぶことのなかった女性客の新規開拓に成功し、現在では他店舗展開を行う。
元々独立してラーメン店を経営されようと思われてたのですか?
元々15歳からラーメンを食べ歩き始めたんですよ。高校・大学時代も食べ歩きを続けて。
大学4年の就活のときに、ラーメンに関わる仕事をしたいなと思って、ラーメン屋を紹介する雑誌だったり、ラーメン博物館の広報だったりも考えたんです。
ただ、親の手前もあって、そのときは人材派遣の会社に入社したんですよね。
結局4ヶ月で辞めてしまったのですが(笑)。
そこから一風堂を運営する力の源カンパニーに入られたわけですね。
結局10年10ヶ月働いて独立しましたね。
そのうち9年は現場に朝から晩までいましたから、ラーメン店経営の基礎は全て叩き込まれました。
最初から10年も働こうと思われてたんですか?
最初は3年で辞めるつもりだったんですよ。
でも師匠から「まだだ」と言われて、そのたびに新しい店舗の立ち上げを任されるようになったんです。
結果的に、調理だけでなく、商品開発・採用・PLなど、経営に必要なノウハウを全て勉強できて、本当に良かったですね。
独立した理由は何だったのでしょうか?
やはり自分の実現したい形を100%追求するためですね。
修行先はあくまでも師匠の目指すものを実現する場ですからね。
独立するのに不安はなかったですか?
不思議と不安はなかったですね。
結局やってみないとわからないというのもありますし、きちんと売れるようなものを作っていけば結果は出ると思ってましたから。
だからと言って、100%確信があったわけではないです。
とにかく目の前のお客様に良いものを提供するだけでした。
当初から独自のポジショニングで展開されてましたよね。
「ベジ」というテーマは、ホテルで何気なくにんじんジュースを飲んだのがきっかけだったんです。
これをラーメンにできないのかと。
そこからフランスでビーガンというライフスタイルがあるのを知ったりして、コンセプトを固めていったんですよね。
当時流行っていたトレンドとは大きく一線を画するものですよね。
当時流行っていたのは六厘舎さん、とみ田さん、つけ麺TETSUのようなつけ麺だったんですよね。
でもそれだと後発になってしまいますし、差別化できないと思いました。
実は創業のときに、ブランディングやマーケティングを専門にする友人に相談したんです。
そのときに色々教わったのもあって、どんなビジネスでも「先行者優位」が最大のポイントであると再認識したんです。
シャンプーでも車でも何でもそうですね。
先行者が築いたイメージやブランドは、後発ではなかなか覆せないということです。
とはいうものの、ベジソバは理解されるまでなかなか時間がかかったのではないですか?
最初は「こんなのラーメンじゃない」と良く言われましたね(笑)。
得体の知れないものはなかなか理解されづらいのですよね。
創業4ヶ月で資金がショートしそうになったこともあるんですよ。
そこから受け入れられた手応えはどんなときに感じましたか?
当時毎週来ていただけるOLさんがいたんですよ。
薄く広く受け入れられるのではなく、ターゲットに深く受け入れられたときに、「これはコンセプトが浸透している」と感じましたね。
店舗デザインも独特です。
カフェのような店作りをしたのは、当時東京がカフェブームで、飲食店の最先端がカフェだったんですよね。
自身も沢山のカフェに通って、刺激を受けました。
例えば、カフェって、トイレに一輪挿しのあじさいが置いてたりするのですが、6月の花を5月に置くんですよ。
そういった季節を先取りして感じさせるセンスは、ラーメン屋にはないと思いましたね。
クリエイティブなセンスに敏感なのは昔からだったんですか?
クリエイティブセンスやデザインセンスがすごいあると思ったことはないのですが、「これはかっこいい」というものはわかるつもりですね。
そういえば、元々母親が音楽教師で、クラシックや演劇に囲まれて育ったんですよね。
それで感性が磨かれたと思います。
とはいうものの、常に時代を先取りし続ける苦労もあるのではないですか。
常に危機感は持つようにしています。
ヒットというのはいつまで続くかわからないですから、常に変化していけるように態勢を整えているんですよ。
例えば少し前にメニューを全替えしたんですよ。
もちろん「前のほうが良かった」という声も挙がるのですが、常に変化していかないと、結局衰退していってしまうと思います。
最近はクチコミサイトやSNSもありますし、マイナス意見も耳に入りやすいのではないですか?
本当に愛を持って意見してくる方は、内容を見るとわかるんですよね。
そういった声には真摯に耳を傾けますが、一方自身が貫くべきだと思ったら「僕は今この味が良いと思っているので、そうと思って食べて下さい」と伝えるようにしています。
SNSにはいち早く取り組まれてますよね。
TwitterとInstagramは常にチェックしていますね。
ラーメン業界ではまだまだこういったことにも取り組めていないお店も多いのが現状です。
Instagramが流行る前から、うちはインスタ映えするラーメンを作っていました(笑)。
Twitterもフォロワー数がかなり多いですし、他店よりもいち早くSNSのトレンドもキャッチしていました。
採用も強化されていますが、どんな方と働きたいですか?
欲が強い人・ガツガツした人でも良いですし、会社にずっと残って貢献したい人でも良いです。
共通して大事にしているのは、変化に強くて常に成長したい人と、社会貢献したい人ですね。
「自分が何をして社会貢献するかを考え、それが飲食である」というのが理想かなと。
特に社員であるなら作業員でいてほしくないと思っているので、そういった考えを持ち、自立できる人が良いですね。
業界経験は不問ですか?
不問です。
実際今も色々なバックグラウンドの人が働いていますから。研修にも力を入れていますし、成長意欲さえあれば問題ありません。
御社の次の一手をお聞かせください。
「うちに来ないと食べれないものを作る」というのは常に目指したいですが、改めて「当たり前のものを高い基準で作る」ということにこだわっていきたいです。
味の追求ももちろん、「笑顔」「元気」「きれいに」など、お客様に満足してもらうための「当たり前」を追求したいと思います。
飲食店で独立したい人は多いと思いますが、成功の秘訣はありますか?
お金や地位など、個人の欲求を追求するだけでは成功できない世界だと思います。
自己満足にならないようにしないと、お客様や関わる人を喜ばせられないのですよね。
また、独立は一種の「自己表現」でもあるんですよ。
メニュー・空間デザインや理念など、自身で実現したい世界を描くわけです。
そこに強い信念を持ちながら、お客様や周囲の人を喜ばせ、社会に貢献する。そういったスタンスの人が成功するのではないでしょうか。
「株式会社ソラノイロ」を詳しく知りたい方はこちら
http://soranoiro-vege.com/index.html