美的感覚集団 美髪堂株式会社
代表取締役 鈴木 勝裕

埼玉県入間市出身。中央理美容専門学校、山野美容専門学校を卒業後、1987年24歳で独立。
地元密着の美容室を運営し、「美容業界の風雲児」と呼ばれカリスマ美容師ブームを牽引。
2007年、事業モデルが評価され、第2回渋沢栄一ベンチャードリーム賞にて奨励賞を受賞。埼玉県美容組合狭山支部長、埼玉県美容業生活衛生同業組合理事などを歴任。

鈴木社長は、もともと独立することを考えていたのでしょうか?

そうですね。自分の会社を起こすというのは、小学生の頃からの夢でしたね。
どんな会社、事業にしようか迷いはあったのですが、得意科目が数学と美術で、アインシュタインにもピカソにもなれないと思いましたので、それを活かせる職業が何か考えていました。
手先の部分で手堅いのは床屋だと思い、床屋の学校に通い、その後美容学校に行きました。

そのことがきっかけで、美容師の道に進まれたのですね。

床屋は職人気質ですが、美容は広がりがあり感性を追求するものでしたので、成功できるという確信を得たことがきっかけですね。
美容学校を卒業する時には、クラスのメンバーの誰よりも先にお店を出そうと決め、人の10倍くらいのスピードで吸収し、免許を取得してからすぐにお店を持ちたいと思っていました。
ただ、すぐにお店を持つことは難しったので、美容室でアルバイトをしながら、カットスクールに通いました。
自分がお店を持つことを常に考えながら、カットのスキルと組織論を学びましたね。リターン率を追い求めながら、お店を出すタイミングを見極めていました。

出店はどのように進めていったのでしょうか?

出店を決めてからは、「絶対に安く出した方が、失敗した時に楽だ」と思い、1店舗目を出店しました。
スタッフが定着しないと、2、3店舗目は出せないと分かっていましたので、何店舗が良いか見極め1年に1店舗と考え、スタッフの募集と教育を考え始めました。
その後も、資本政策やキャッシュフローのことを考え始め、5年目以降は利益が毎年出る状態をつくりました。

そこから、店舗展開を拡大されていかれたのでしょうか?

その後、一度原宿に出店しています。
原宿のブレイクを感じ、原宿に進出すると決めてからは、すぐに原宿に事務所を構え、周辺の美容室の位置や特徴など徹底的にリサーチを行いました。
自転車を購入して、原宿のエリアを駆け巡り、スタッフやお店の多い場所などをマッピングして、一番盛っている場所に絞りこみ、テナント募集が出ないか行く度に偵察をしていたんです。
不動産屋にも名刺を配っていいましたので、逐一状況を聞いてまわり、たまたま地鎮祭が行われているところを通りがかった時に、1年後にできるという複合ビルへの入居をその場で決めました。

それが、東京・原宿でのスタートとなったのですね。

そうですね。もちろんゼロスタートでしたので、お客様もなかなか来なかったのです。
撤退か・・と考えていた頃に、AERAや日経トレンディーなどから取材依頼が立て続けにあったのです。何が始まるのかと思っていたら、当時同じ立地にあった美容室との対決のようなドキュメンタリーの撮影でした。
当初は、「埼玉からきた挑戦者」のような取り上げ方をされる予定だったのですが、それではサロンが格好悪くみえると思いましたので、「埼玉のスタッフ全員を連れてきて、原宿でモデルハントして、1日で100人カットして感動させます!」というシナリオを提案したら、そのシナリオ通りにドカンと集まったのです(笑)。
放送後は反響のあまり、電話は鳴り止まないですし、採用にも一度に800人程応募が集まるようになりましたね。今や、そこで集まったメンバーが幹部として担ってもらっています。

メディアがきっかけで拡大につながったのでしょうか?

原宿に6店舗出したのですが、実は、それ以降は2店舗までに縮小したのです。
経営まわりの数字を見直した際に、やはり数字に表れるものだなと実感しました。それと同時に、会計士から経営革新制度があることを聞き、新規事業をつくれないかと思い動き始めました。それが、16年前の38歳の時ですね。
その後、キャンピングカーに美容室をつくり、理美容と福祉を融合させた出張理美容サービスを展開したり、複合美容室をフランチャイズ化するなど行ってきました。
この経営革新も5年間のものですので、毎回新たな事業を考えチャレンジしながら実行し、拡大を続けています。

他社ではなく、貴社を選んでいただくためにどのような取り組みをしていますか?

設備に関しては、椅子の座り心地やシャンプーの温度などは、徹底しています。
また、客数を増やさないということにこだわっています。今後、お客様も採用人材も減ることを考えた時に、いかに弊社を選んで好んでいただき、単価高く定着化してもらうことを意識しています。
あとは、美容師に頼りすぎないことですね。面積に対する効率と生産性を考え、美容師をどう活かし、付加価値をつけていくかは常に考え続けています。

今後は、どのようなことを目指しているのでしょうか?

今後、人口減少が予測されている中で、国内での技術勝負ではなく、海外とのチャネルをつくり、美容師の技術以外の部分を活かし、拡大していきたいと考えています。
既に、ヘアだけでなく、ネイルやまつ毛エクステ、ペットサロン、写真などの複合サロンをつくりました。また、実店舗だけでなく通販強化をしながら、美容業界とのつながりをもってプロデュース店舗を増やしていきたいと考えています。
また、ITの市場も拡大していると思いますので、SNSなどを活用して物流システムを世界的な視野でつくり、物販や通販事業を拡大していきたいと考えています。
そうすることで、最終的に社員に還元していける仕組みをつくっていきたいですね。

「美的感覚集団 美髪堂株式会社」を詳しく知りたい方はこちら
http://belles-beaute.jp/