尾形米穀合同会社
共同代表 尾形 雄司

マーケティングオートメーションの分野で世界トップシェアを誇るHubspot社の「インバウンドマーケター」の認定を取得した経歴を持ち、上級ウェブ解析士・三ツ星お米マイスターなどの資格も有している。マーケティングの知識を自社のネットショップで実践し続けてきた結果、10期連続で前年比売上増を果たすなど、一定の成果を挙げている。

データを徹底活用するクラウドデータベースサービスのAirtableや、サービスとサービスを連携して作業を効率化するZapierなど、海外の様々なツールの使い方にも通じている。

御社の事業内容について教えてください。

山形市で130年以上の伝統のある米屋を営んでおり、2019年には法人化し、現在、兄の厚志が5代目を務めています。
近年はECサイトでの販売も強化し、「山形米の専門店」として実店舗、Amazon、自社ECサイトの3本柱で営業しています。
私たちは、ただ米を仕入れて販売するというだけでなく、生産者さんのこだわりや想いをお客様にしっかりと伝えることが責務だと思っています。だからこそ仕入れの際は、生産者一人一人に直接会い、土や水、作り手のこだわり、その土地の文化や背景まで把握します。その上で「この人が作る米だったら絶対においしい」と自信を持って届けられるものだけを厳選して取り扱っています。

当初は家業を継ぐつもりではなかったそうですね。何かきっかけはありますか。

兄が家業を継ぐ予定で神奈川県の米屋に修行に行っていました。春には家業を継ぐために帰ってくるという直前の2003年1月、4代目店主だった父が急逝。家族のことも店のことも手が回らなくなるほどに忙しくなり、「自分がやらなければ」と兄とともに店を支えようと思ったことが家業を継いだきっかけです。
兄弟で役割を分担し、私はWebマーケティング戦略やミッション・ビジョン等の経営計画立案を担当しています。一方、兄は「五つ星お米マイスター」や「ごはんソムリエ」、「米食味鑑定士」の資格を活かし、米のプロフェッショナルとしてお客様へのご案内を担当しています。

いきなり継がなければならない状況になったのは相当な苦労だったのではないですか。

家業を継いだ頃の私は、米のことも知らなければ会社勤めをしたこともありませんでした。ですが、とにかく目の前のことをやるしかないと腹を括り、孤独を感じる暇もないほど忙しく動いてきました。なんとか事業の流れを掴み始めたと思った矢先に、販売不振でどんなに売っても利益が出ないという年もありました。そこからブランディングを強化し、安さ勝負はしないという方向に舵を切ることにしました。

尾形米穀店ならではの強みはありますか。

私たちは、山形米のみを取り扱うという徹底したブランディングと農薬の使用を抑えた特別栽培米を厳選することで、高価格帯ながらも買っていただける商品づくりをしています。おかげさまでコロナ前より売り上げが2.5倍に伸び、全国のお客様から高い評価をいただいております。

今後の展開をお聞かせください。

米をもっと楽しんでもらえるよう、いろいろな角度からアプローチしたいと思っています。例えば、品種による食べ比べで、味の違いが分かるようになると食卓がもっと楽しくなります。「こめイロ」という食べ比べセットを販売しているのでぜひ試してみてください。
他にもデジタルカタログやVR・ARなどを導入し、米の特徴をお客様が手にとるように分かる仕組みを作りたいと考えています。

農業や食に携わる方へ、メッセージをお願いします。

私たちは「農業とともに生きる」を理念に、農家さんとともに成長することを大事にしています。利益の出ない農業で後継者がいなくなるのはとてももったいないです。こだわりを持って作られた良い商品を、適切な価格でお客様にお届けする。一企業でやれることは限られていると思いますが、やれることをしっかりやって、農家も米屋も互いに成長しあい、持続可能な世界を作っていきたいと思います。

「尾形米穀合同会社」を詳しく知りたい方はこちら
https://www.ogatabeikoku.com